フッ化物洗口とは?「フッ化物洗口」を知っていますか?
約50年前から全国的に広く行われているむし歯予防方法です。富山県や新潟県ではこども園や小中学校で一般的に行われています。
金沢市でも最近徐々に広まってきており、取り入れるこども園や幼稚園が増えています。
また、すべての市立保育所では3年前から行われています。1日1回、5~10㎜ほどのフッ化物を含んだ洗口液で、30秒から1分間のブクブクうがいをするだけのカンタンなむし歯予防方法なので、ぜひご家族みんなで行うことをお勧めします
【有機フッ素化合物とむし歯予防のフッ化物について】
PFOSやPFOAといった有機フッ素化合物による環境や健康への影響が、よくニュースで取り上げられています。
これらにはフッ素(F)が含まれているので、むし歯予防に使われるフッ化物の安全性について不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、むし歯予防に用いられるフッ化ナトリウム(NaF)やモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)などの無機化合物は、全く別のものです。
例えば、食塩(塩化ナトリウム:NaCl)と塩酸(HCl)には、いずれにも塩素(Cl)を含んでいます。しかし、私たちの体に必要な食塩と、劇薬である塩酸は大きく性質が異なります。
これと同じく、むし歯予防のためのフッ化物とPFOSやPFOAには、どちらにもフッ素(F)が含まれますが、その性質は全く異なります。
フッ化物洗口やフッ素塗布、フッ化物配合歯磨剤(歯磨き粉)によるブラッシングなどは、安全性が高く優れたむし歯予防方法です。安心して行ってください。
フッ化物洗口のお話アレコレ
フッ化洗口アレコレ
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なぜ虫歯になるの?
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フッ化物の3つの働き
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フッ化物洗口のむし歯予防効果
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フッ化物洗口の安全性
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フッ化物塗布もお忘れなく
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金沢市の取り組み
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フッ化物洗口おススメ書籍
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Q&A
なぜ虫歯になるの?
さまざまな原因が合わさってむし歯になります。
ですから、むし歯予防も1つだけではなく、それぞれの原因に対応した予防方法が必要です。
フッ化物の3つの働き
1.歯の質を強くします
2.歯の石灰化を促します
3.むし歯原因菌を抑制します
フッ化物洗口のむし歯予防効果
もっともむし歯になりやすい年中から中学卒業まで、継続的に毎日洗口を行なうことで、40~60%のむし歯予防効果を期待できます。
新潟県の12歳児を対象にした調査では、年中から小学6年までフッ化物洗口を行った群は行わなかった群に比べ、むし歯の数が約半分でした。
もちろん大人のむし歯にも予防効果があり、すべての年代でのフッ化物洗口が厚労省や日本歯科医師会から推奨されています。
年中から中学卒業までが
\ 最も効果的 /
これは年中から中学卒業までフッ化物洗口を続けたグループと、行わなかったグループのむし歯の数を調査したものです。
もっともむし歯リスクの高いこの時期にフッ化物洗口を継続的に行うことで、高いむし歯予防効果が得られます。
保育園やこども園、小中学校でみんなで一緒に行うと、無理なく続けられます。
フッ化物洗口の安全性
フッ素はありとあらゆる食品や海水などに含まれており、カラダの健康を保つのに必要な必須微量元素です。
なかでも食塩やお茶、魚介類に多く含まれています。
歯科医院でのフッ化物塗布もわすれずに。
定期健診を受けましょう
フッ化物洗口などの低濃度(250~900ppm)と歯科医院で行うフッ化物歯面塗布の高濃度(約9000ppm)では、フッ化物のむし歯予防効果のはたらきが異なります。
どちらとも行うことで、より大きなむし歯予防効果が期待できます。
また、歯科医院での定期健診では、ハミガキの練習やむし歯や歯肉炎、歯周病のチェックも行います。
お口の健康を守るために、定期健診を受けましょう。
金沢市の取り組み
金沢市発行『かなざわ健康プラン2024』
>歯と口の健康
>目標に向けての取り組みに
◯フッ化物の応用などに関する知識や実践方法の普及
【2018年度】
●モデル事業としてフッ化物洗口開始
・光こども園(私立)、薬師谷保育所(公立)
【2019年度】
●市立保育所フッ化物洗口推進事業
・すべての市立保育所(13か所)で実施
●私立保育所等フッ化物洗口推進事業
・私立保育所等でも、フッ化物洗口が普及するきっかけとなるよう、フッ化物洗口に係る経費の一部を補助する
・補助対象経費:フッ化物洗口に必要な消耗品一式
・補助率:補助対象経費の2分の1(上限70,000円 2年間限り)
●市立小学校でのフッ化物洗口開始
・不動寺小学校の全児童を対象に、期間限定で実施
【2021年度】
●私立保育所等フッ化物洗口推進事業
・補助期間が撤廃
Q&A
Q.うっかり飲み込んでしまっても大丈夫ですか?
A.例えば5歳児(平均体重20㎏)の場合、急性中毒量はフッ化物洗口液約400mlに相当します。
誤って1回分(5~10ml)を飲み込んでも問題ありません。
Q.定期的に歯科医院でフッ素を塗っています。続けても問題ないですか?
A.日本では高い安全基準に基づいてフッ化物が認可されています。
歯科医院で定期的にフッ化物を塗り、フッ化物配合の歯磨剤を併用することで、より高いむし歯予防効果が期待できます。
取りすぎにはなりませんので、安心して続けてください。
Q.病気やアレルギーによって、フッ化物洗口を行えないことがありますか。
A.体質や病気による制限はありません。また、アレルギーの原因になることもありません。
骨折、ガン、神経系および遺伝系の疾患などと関連がないことは、水道水フロリデーションのデータを基にした疫学調査によって証明されています。
Q.お茶にはたくさんフッ素が含まれているそうですが、むし歯予防のためお茶で洗口しても効果はありますか?
A.お茶のフッ化物濃度は、日本の水道水に比べて5~20倍高いです。
しかしフッ化物洗口液と比較すると非常に低く、フッ化物による十分なむし歯予防効果は期待できません。
○ 緑茶:0.5~2.0 ppm
○ フッ化物洗口液:225~450 ppm