DENTAL INFORMATION

外傷歯の治療

子供同士ぶつかったり、ころんだりして歯がまるまる一本抜けてしまうという事にたびたび遭遇します。活動的となる1〜4才および7、8才頃に多いと言われています。

歯は“歯冠部”(口の中で見える部分/エナメル質の部分)と“歯根部”(歯肉の中に埋まっている部分)に区別されますが、“歯根部”の表面についている“歯根膜”という(歯とあごの骨をつないでいる)組織が生きているうちに、早く元の骨の穴に戻す事が重要です。そうすれば、根は元どおり骨にくっつきますし、一度断裂した神経が再びつながることもあります。

ポイント1 抜けた歯を乾燥させないようにしましょう!
ティシッュなどに包んだりして乾燥してしまいますと約30分で歯根膜の細胞が死滅してしまいます。
身近なところで冷たい牛乳(冷蔵庫ぐらいの温度)かまたは生理食塩水に浸してください。水道水はあまり良いとは言えません。水ですと浸透圧の関係から歯根膜の細胞が壊れてしまいます。歯が砂などで汚れていて水道水で軽く数十秒ぐらい洗うことは大丈夫ですが、不安ならばそのまま牛乳か生理食塩水に浸してください。
ポイント2 歯根膜(根っこの部分)には触らないでおきましょう!
触れていいのは歯冠部だけです。歯根部には歯根膜がついていますので歯根膜の組織が壊れてしまう恐れがあります。
ポイント3 できるだけ早く歯医者さんに持って行きましょう!
歯牙外傷は時間との闘いという側面を持っています。歯根膜組織は牛乳や生理食塩水に浸すことで乾燥状態よりは長く生きていると言われていますが、できるだけ早く持って行きましょう。
ポイント4 歯の抜け落ちたところはガーゼ・ティシッュ等を咬ませて止血しましょう!

【症例1】小学1年女子・歯牙脱落 (受傷後約30分)

来院時

脱落歯

固定処置時

1ヶ月半後

【症例2】小学4年男子・歯冠部破折 (受傷後約1時間)

来院時

破折歯

修復時

※折れてしまった歯も同様です。それが小さい破片であっても、みんなで探して歯医者さんに持って行くようにしましょう!

睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome:SAS)と歯科治療

睡眠時無呼吸症候群(以下SASとします)とは、日中の「眠気」とともに、睡眠時の10秒以上の無呼吸あるいは低呼吸(通常の半分以下の弱い呼吸)が1時間に5回以上生ずる状態を言います。睡眠時に、舌がのどに沈下すること等により、呼吸のときの空気の通り道が閉塞することによりこのような現象が起こるわけです。顎が小さい(小顎症)、下顎が後ろにさがっている(下顎後退症)、舌が大きい(巨舌症)、扁桃肥大等も大きな要因です。

夜間においては大きないびき、何回も起きてしまう、日中においては、過度な眠気、疲労感、集中力の欠如、早朝の頭痛、等の訴えがあります。特に日中の過度の「眠気」は社会的な問題をおこす眠気(Problem sleepiness)となり、居眠り運転事故や産業事故の原因となります。平成15年2月26日に発生した新幹線運転士の居眠り事件のことは記憶に新しいと思います。

SASの患者さんは、その70%が肥満体質です。肥満によって、のどの周囲(上気道軟部組織)へ大量に脂肪が沈着する結果、のど(上気道)が狭くなり無呼吸が発生しやすくなると考えられています。さらに慢性合併症として高血圧、糖尿病、高脂血症等があり、特に重症のSAS患者は循環器系疾患の合併例が多く、なかには夜間突然死の報告もあります。

SASの治療法には鼻マスクを使用するNCPAP療法、減量療法(ダイエット)、外科治療等がありますが、歯科医院で作製する口腔内装置(スリープスプリント)による治療も効果があります。この療法は費用や簡便性などの点で長所がありますが、まずSAS専門医による正確な病気の把握が必要です。以下のセルフチェックであてはまる点があるようでしたら是非専門医への受診をおすすめします。

疲労感 強い眠気 大きないびき
朝の頭痛 目が覚めたときのくちの渇き 睡眠中の窒息感やあえぎ呼吸
夜間に何回も起きてしまう 熟睡感の欠如 集中力の欠如

平成16年4月よりSAS診療の専門医師と連携して歯科医院での口腔内装置(スリープスプリント)による治療が認められました。

この療法は口腔内装置(スリープスプリント)を睡眠時に装着することにより、睡眠中に舌が沈下しておこる気道(空気の通り道)閉塞による無呼吸症候群(SAS)に対して、気道を広げ睡眠中の気道閉塞を起こりにくくすることを目標としています。

主な適応症

  1. 鼻閉塞がないこと
  2. アデノイド、口蓋扁桃等の肥大がないこと
  3. 歯の状態が口腔内装置(スプリント)装着に適していること

気道閉塞防止のメカニズム

  1. スプリントの装着により 下あごを前へ誘導して固定する

    側面(装着前)

    側面(装着後)

    口腔内装置(スプリント)
    全体像

  2. 舌の沈下を防止 → 気道拡大、気道閉塞の減少

    正常

    装着前(舌の沈下)

    スプリント装着後
    (気道拡大)

※図は「歯医者さんで治す!いびき・無呼吸ネット」http://www.ibiki-mukokyu.net/より引用

治療効果

スプリント装着により無呼吸と低呼吸(通常の半分以下の弱い呼吸)が明らかに減少しています。

スプリント装着により高血圧の改善が得られました。

本装置の製作および治療は歯科医院でおこないますがSAS専門医による正確な病気の把握が必要です。スプリント治療は費用や簡便性などの点で長所がありますが、SASは高血圧、糖尿病、高脂血症などの慢性疾患を合併することも多く内科医、耳鼻科医、歯科医の協力のもと、きちんとした検査等を受けられたうえでお使い頂くことが必要です。

親知らず(智歯)

永久歯は上下左右とも前歯から数えて7番目の歯まで、すなわち合計28本がだいたい15歳くらいで生えそろうのですが、「親知らず」とは17〜30歳頃に生えてくる最後の永久歯で、前歯から数えて8番目の歯のことをいいます。昔は、この歯が生えてくる頃には親がもうこの世にいない、あるいは多くの人は親元から独立して生活していたこともあり、「親が歯の生え始めを知ることはない」ということで、「親知らず」と称されるに至ったようです。

現代人は顎が徐々に小さくなってきていることもあり、親知らずの生えるスペースが不足するため、斜めに生えたり、一部分だけ生えてあとは歯ぐきに埋もれていたり、など、きちんと生えずじまいになってしまうことがあります。そのような場合、以下のような問題点が生じる可能性があります。

  1. 不潔になりやすく、歯磨きも不充分になりやすいために、むし歯になりやすいばかりか、接している隣の歯のむし歯の危険度も高くなる。
  2. 歯ぐきが炎症を起こしやすく、腫れたり、痛みが出ることがある。
  3. 上あるいは下だけがきちんと生えた場合は、歯が伸びてしまい、歯ぐきに当たって痛んだり、咬み合わせに悪影響がおよび、顎関節症をひきおこす危険もある。
  4. 歯並びを悪くすることがある。また、矯正治療による歯並びの改善の妨げになることがある。

むし歯や歯ぐきの炎症については、うまく治療できる場合もあるかもしれませんが、他の歯と同じように機能していない親知らずは、思い切って抜歯をしたほうがよいケースもあります。歯科医院でレントゲンを撮るなどして、歯科医師とご相談ください。

※親知らずには退化傾向があり、現代人においては上下左右合わせて4本全てが生えてくる場合もあれば、もともと4本すべてが欠如している場合など様々です。

妊娠中の歯周病

「妊娠中の女性で歯周病を罹患している人は、そうでない人に比べて低体重児(出生時2500g未満の児)を早産(37週未満で出産すること)する確率が高い」という研究結果が、10年ほど前、アメリカの研究者によって発表されました。その後、日本も含め、この結果を肯定する研究が多く報告されています。

低体重児早産に関係する危険因子として、他に喫煙、アルコール摂取が以前から取り上げられ、ご存知の方も多いと思いますが、歯周病はそれ以上に危険な因子であるとも言われています。

歯周病を治療すれば低体重児早産を減らすことができる!と言い切るには、まだ今後の研究を待たねばなりませんが、お口の健康を保つことが元気な赤ちゃんを産むことに少なからず関係があることは間違いありません。

金沢市では、妊婦歯科健康審査を実施しております。市内在住の妊婦の方は、無料で歯科検診を受けることができます。母子健康手帳をお持ちになってお近くの歯科医院でお口の健康をチェックしてもらいましょう!

赤ちゃんのむし歯菌

人間は生まれ落ちた瞬間から、種々の細菌と共存し始めます。口の中も例外ではなく、オギャーと産声を発した瞬間から色々な菌が住み着き、最終的には300種類以上の細菌が口の中に生息することになります。その中に、むし歯菌もいるのです。

では、むし歯菌はどこから来るのでしょうか?

最近の研究によると、70%以上の確率で母親のむし歯菌が赤ちゃんにうつることがわかっています。最初の乳歯が口の中に生えてくる生後7ヶ月頃、むし歯菌が赤ちゃんの口の中に出現します。そして、2歳くらいで、その赤ちゃん独自の口の中の細菌構成が決まってきます。このとき、むし歯菌の割合が少なければ、そのお子さんはむし歯になりにくくなると言われています。これらのことから、妊娠中や出産直後のお母さんが歯磨きや食生活に注意して、お口の中のむし歯菌の割合を減らすように心がければ、お子さんの口の中のむし歯菌の割合も少なくなり、むし歯になりにくくなる、ということがわかってきました。

歯周病に関する同じような研究はまだありませんが、お母さんの歯周病菌がうつるということは想像に難くありません。

このような観点より、妊娠したことがわかったら、あるいは妊娠する可能性のある女性では、検診を受け、むし歯と歯周病の処置をきちっとしてお産を迎えることが大切です。出産直後でも大丈夫です。これらは、生まれてくる赤ちゃんのお口の健康につながるのです(お母さん、がんばって)。

歯周病と全身疾患

人間の病気は、広義にはすべて全身疾患と考えられますが、病気というものは不健全な生活習慣と大いに関係するところから、すべての病気は生活習慣病ということができます。そこで、歯周病に関係が深い全身疾患や因子を列記します。

糖尿病 糖尿病の人は免疫能力が低下していて、炎症による歯ぐきの破壊を起こしやすく、歯周病のハイリスクグループと言えます。最近の研究によると、すでに歯周病を発症している糖尿病の人が、歯周病を治療することで糖尿病自体を軽快させるのではないかということがわかってきました。
心臓血管系の疾患 歯周病の人は、そうでない人よりも致命的な心臓血管系の疾患を引き起こしやすいのではないかということがわかってきました。また、心臓血管系疾患のハイリスクグループのひとつである喫煙者は、歯周病のハイリスクグループでもあります。
免疫抑制的な疾患 上記の糖尿病もそうですが、他にも白血病やエイズなど免疫が低下する病気の人は、歯周病を発症しやすくなります。
遺伝 臨床的によく見られるのですが、重度の歯周病は同じ家系のなかに現れる傾向があるので、遺伝的な影響があるのではないかと考えられています。その詳細は、現在世界中で研究されています。
肺炎 重度の歯周病の人は、歯周病の細菌の影響をうけて肺が炎症を起こしやすい状態になるといわれています。また、お口の中が汚くなって唾液のなかに細菌が多くなると、お年寄りや病気の方など体力の低下している方では、寝ている間などに唾液が肺に落ち込んで「誤嚥性肺炎」が起こりやすくなります。
低体重児出産 歯周病の人は、そうでない人よりも低体重児出産(いわゆる未熟児の出産)が起こりやすいことが、最近わかってきました。

入れ歯安定剤

義歯安定剤は、しばらくの間使うものとしては便利なものですが、長い間使い続けると種類によっては不衛生になりやすく、口腔乾燥症の原因となったり、カンジダ菌の増殖による口腔カンジダ症になったりします。また、あわない義歯を使い続けると歯ぐきが異常に減ってしまったり、歯ぐきを傷つけることで、それが持続的な刺激となって病気を作ってしまう原因になったりします。いずれにせよ、義歯があわない根本的な原因を調べ、適切な対処をすることが最も大切ですので、歯科医師に相談される方がよいでしょう。

口臭

口臭には、社会的容認度を超えるほどの強い臭い(真性口臭症)から、本人は気になるものの、周囲の人たちにはほとんど気づかれない程度の臭い(仮性口臭症)まで様々な程度があります。まず、大事なのは本当に口臭が発生しているかということです。他人に指摘されて気にされる場合がほとんどだと思いますが、これを見極めなければなりません。

さて、真性口臭症だとしたら、臭いの発生源はどこでしょうか?全身的疾患(耳鼻科、呼吸器科、消化器科系など)が原因の口臭を除けば、その多くは舌苔が発生源といわれ、ここから発せられるVSC(揮発性硫黄化合物)ガスがその本体です。舌苔というのは舌(べろ)の表面にみられる、白あるいは黄色っぽい、まさに苔(コケ)のようなものです。そこには、脱落した上皮細胞(舌の表面の細胞)や白血球が存在していて、それらをお口の中の細菌が分解、すなわち腐敗することによって不愉快な臭いのするガスが発生するわけです。

歯周病を患っているお口では、当然歯周病原菌が大量に増殖しているわけですが、これらによって、さらにガスの発生が助長されることになり、あの独特のいやな臭いがするわけです。

したがって、歯を磨くことは、それだけで口臭を防ぐのに充分とはいえないかもしれません。いずれにしても、本当に口臭があるのかどうか、歯周病になっていないかどうか、など客観的な診断のもと、適切な処置を施すことによってほとんどの場合、軽減できるはずです。